中国大会準決勝の相手の城東高校さんは1年前の一年生大会で敗れて雪辱を誓った相手だ。絶対にと思っていたが・・・。まず、朝の時点でエース石垣が山陽高校戦で足の捻挫をしていたことがわかる。「中国大会に間に合うのか?」暗い気持ちになる。中曽は前日の熱中症による腕のしびれは治まったものの違和感が残り、長い回は無理だろう。幸い、秋の大会では登板機会がなく、肩を休めることができた坪井の調子が良い。野手と打者の比重が高く、投手としての評価は高くないが、今日のブルペンでは変化球のキレも良く、直球も来ている。
試合は先攻で始まった。城東さんも前日133球投げたエースはさすがに投げさせられない。初回から満塁と攻め立てるが、得点できない。それでも打球方向は良いし、ボールも見えている、後は粘りと気持ちでこじあけるだけだ。坪井のピッチングは6球を要したが1番打者をピッチャーゴロで打ち取る。130キロ台が出ているしキレがある。何よりマウンドでも安定している。ほっとした矢先に悲劇が起こる。
2番打者のピッチャーライナーが坪井の膝にあたる。よろけるようにマウンドを降り、うずくまる坪井。てんてんとファールエリアを転がるボール。ランナーが2塁に到達し、審判からタイムがかかる。すかさず宮本がコールドスプレーを持って治療にあたる。ベンチは静まり返っていた。まだ、守り始めて5分も経っていない・・・。そのとき、交代という選択肢は頭になかったが、せめて治療に入るべきだったかもしれない。
その後、疲労と動揺からか4失策で1回の裏に3点を取られ、主導権を完全に失った。2回の表には3点を取り戻すものの、3回には2点を入れられ、3対5と負け越した。坪井はアイシングで痛みを抑えてピッチングを続けていたが、体重を掛ける度に痛みがはしり、ぽつりぽつりと不安が漏れる。我慢強い坪井も、攻撃で出塁・盗塁してアイシングできずに守備についた5回に力尽きた。自らのワイルドピッチで作った1アウト2,3塁での降板は断腸の思いだったろう。間が悪いことに、先発でライトに入った鳥岡は2回のヒットと3回の四球で2打席連続出塁と好調だったが、4回裏の守備終わりに足がつって治療をしていた。坪井には悪いが、そのままライトの守備に入ってもらう。すでにチームは満身創痍だ。
このピンチを左のリリーフ廣岡が2人を5球で仕留めて乗り切る。更に6回を3人で乗り切ったが、7回に2つの四球で2アウト満塁のピンチでマウンドを降りた。わざと四球を出す選手はいないが、出たということは何かが足りないのだろう。とはいえ、準決勝の舞台で2回3分の1を無失点で抑えた功績は大きい。残念だったのは、ここを引き継いだ中曽が痛打を浴びて2点を失ったことだ。3対7となるこの2点が決勝点となった。最後の意地を見せた8・9回の攻撃。8回は2アウトからでも点をもぎ取る総社南の野球を見せてくれた。佐野のライト線のあたりも見事に捉えていて、向こうの守備のシフトが無ければここで追いついたかもしれない。この得点が9回の粘りを呼んで、5対7となって試合は終わった。
この敗戦は言葉で表現できないほど悔しい。連戦を戦い抜く経験の差なのか、それとも油断やスキがあったのか。負けたから弱いのは間違いないが、弱いからと首を差し出すようなチームではない。勝つのはあれほど難しく、負けるのはこれほどあっけない。今まで戦ったチームに申し訳ない気持ちはあるが、選手は全力を出した結果である。更なる精進の糧となることを大人全員で祈りたい。応援よろしくお願いします。