総社南野球部 山陽高校破る

こんな漫画みたいなことが起こるのか?というのが率直な気持ちである。 まるでスクールウォーズだ。 あの山陽高校さんを3年前の春の大会以来、1対0で勝利したのだ。 初回からピンチの連続の中で、7回の古川の唯一のヒット。ワンヒットワンエラーで長躯、代走の切り札、武田が1点をもぎ取っての勝利だ。初回から何度も点を取られてもおかしくなかった場面が何度もあった。エラー4回の多さはこの世代では見たことがない失態だ。でも1点を守り切った。石垣、中曽の粘り強い投球とそれしかないというリードをした捕手山田、そしてエラーをした選手を責めず、むしろみんなで支えて力を引き出したチームの勝利である。

日曜日の練習試合をキャンセルしたのは2日前だった。それほど、試合が始まる前から戦力差は明らかだった。相手は甲子園ベスト8のおかやま山陽高校さん。地元岡山の選手の強化に実直に取り組む、岡山の公立校ならどこでもリスペクトするチームであり、リスペクトする指導者の堤監督、小泉部長だ。必ず負けるとは思わないまでも、勝てるとは思えない試合になるだろう。写真の三浦選手対策はその戦力差を埋めるべくあがく、頭を絞ったコーチ陣の苦肉の策の一つである。我慢の試合になることはわかっていた。1点勝負に持ち込んだところで、その1点が難しいことはわかっていた。


わかっていたからこそだが、結末を見てきたかのような板谷監督の采配は、将棋や囲碁の神の一手のようだった。野球科学の世界では当日の監督の采配は勝敗に大して影響を与えないことがわかっている。しかし、この試合に関しては絶対に開かない扉をこじあける唯一の道を指し示した采配だった。新聞に書いてあるように、我々が勝った試合ではなく、山陽高校さんが負けた試合だったのかもしれないが、楽観的に考えれば、監督が身を削りながら出した魂を込めた指示が少しは通じたのかもしれない。
昨日の三宅主将のあいさつは「次は昨年の一年生大会で負けた城東です。私たちは城東に勝つためにトレーニングを積んできました。城東高校に必ず勝ちます。しかし我々の目標は中国大会で勝ってで甲子園の土を踏むので応援よろしくお願いします!」って、おいおいって失笑したのは私だけでした。みんなそんなに一生懸命拍手して、もしかして、・・・・、考えるのも恐ろしい。しかし、今日の試合は流石にきつい。昨日の2回の裏に帰ってきた山田が肩で息をしながら「圧が半端ないです」との言葉に、3年前の山陽戦で金安が「いい選手が揃ってますね。投げるところがないです」と言っていたのを思い出した。それくらい相手一人一人の出すオーラが違っていたのだろう。音圧に魅了されたのかぼう然と敵のスタンドを眺める選手も多かった。応援が力になる、応援につぶされるとはこういうことかと分かった気がする。結局、1回は治療の時間をもらったが、他の多くの選手も治療しながらの戦いだった。敵に弱みを見せられないから仕方がないが、誰が欠けてもおかしくない中でポーカーフェイスで戦い続けた。

一夜明けて正気に戻ると、自分たちのチームは昨日の試合前よりむしろ戦力ダウンしている事実に気づかされる。しかし、我々は挑戦者、まだ何も成し遂げてはいないが、だからこそ失うものも何もない。浮かれている暇もない。なんのために頑張っているのか見失う小物であってはならないのだ。ただ、一戦必勝を誓ってチャレンジするだけだ。応援よろしくお願いします。
(写真:山陽新聞ディジタル)